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2007年01月28日

これだ!





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Gorilla file 15


これだ!



昨シーズンは、タルトタタンをよく作りました。
今までは、滅多に作らなかったんですが、知り合いからリンゴを頂いてパッと頭に浮かんだんですよ、タルトタタン、『よし!今年(昨冬)は、タタンだ!』
と思って、作ってました。
まあ、誰でもリンゴを見れば、浮かびそうなもんですけど。
そして、作ってみたんですけど、やっぱり美味しい。
作る人によって色々な作り方があると思いますが、リンゴは《紅玉》がいいみたいですね、あまり他のリンゴで作ったことがないのでわかりませんけど・・・・
僕は、先にキャラメルのソースを作っちゃってから半分に切ったりんごをギッシリ詰めて作っていくんですよ、バターをタップリいれて 『ブツブツ、ブツブツ・・・』 弱火でじっくり時間をかけて火を通していくと、少しずつリンゴがこげ茶色になってきて、透明感が出てくるんです・・・ (すーんんーごくいい香り)で、美味しそうなんですよね・・・そんないい香りの中にいたら、懐かしい感じを思い出しちゃって・・・

子供の頃から料理を作るのが好きだった訳ではないんですが、なぜか料理は結構作っていたんですよ。
小学生の頃、夏の水泳の後など、家に母親がいなければ、自分で何かしら作っていた。
自分ひとりで、自分だけの料理を作って、自分で食べて、自分ひとりで喜んでいた、という、なんかヘンなガキだったんですね。 
もっとヘンなのは、冷蔵庫を開けて、中を見ながらヘラヘラと笑っていたりとか・・・(事情通)
そんなある日、ふとしたきっかけで焼きりんごと言うものが、あると言う事を知ったんですよ。 サラリーマンだった父親が、会社の研修らしきもので、海外へ行ったことがあったんです。
そのときの食事で食べたのだと・・・。  とても美味しかったと・・・。
詳しく聞いていくうちに・・・
『これだ!』  
食べたい!  作ろう! なぜか作れると思ったんです。
料理などしない父ですが、感激して作り方を聞いてきたんです。
その説明は、記憶ではこんなかんじだったのでは・・・ 
「りんごの芯をくりぬいて、その中にバターと砂糖を入れてホイルに包んでオーブンで焼く」・・・(多分・・)
早速、りんごを買ってきたのか、家にあってのかは忘れましたが、用意して、芯をくりぬいて、バターがなかったのでマーガリンと砂糖を入れて、作ったんです。すると、今思えば笑っちゃうんですが、芯を全部くりぬいちゃってるから、溶けたマーガリンがりんごの底からぜんぶ漏れてしまって、ホイルを空けた時にドローッと外にこぼれちゃうんですよ。
当時は、そんな事は全く気にしないで、いつものように、一人で食べて喜んでいたわけなんです。
ウルトラマン・仮面ライダー・正義の味方大好き世代の彼は、毎日テレビを見ていたんです。 
ある時、♪ハウスバーモントカレーだよ~♪ りんごとハチミツとろ~り♪・・・・・・
『これだ!』 
思いついたらすぐやらないと気がすまない、砂糖を蜂蜜に変えて作ったら・・・
「おいしいじゃん!」 そしてバターも買ってもらって作ってましたよ。
アレこそ、バカの一つ覚えですよ、何十回作ったか・・・。
そして例のごとく、冷蔵庫を開けてヘラヘラ笑っていた時のこと、奥の方になにやら小さな箱が・・・  その箱にはこう書かれていたんですよ、
《小岩井レーズンアンドバター》 (当時流行っていた)
『これだ!』 
 即、実行です。マーガリンからバター、蜂蜜、そして、レーズンアンドバターに出世した、 「我、愛しの焼きりんご」。

絶対に、美味しいだろうと食べたんですよ、ひとくち・・ひとくち・・・・ しかし・・・あまり・・・美味しくない・・・
どういう訳か、もうこれ以上食べようという気がしない・・・。
彼はもう飽き飽きしていたんですね、 焼きりんごに・・。
そして彼は、初めてこう言ったんですよ、
「おかーさーん!これあげる!」 
なんというガキ!
そして、いつものようにテレビの前に座りました。
すると、台所のほうで母の声が聞えたんです。  
『これだ!』




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利き手はどっちだ!!1





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Gorilla file 13  


利き手はどっちだ!!1


「利き手はどっちだ」 とその男は言った。
「右手です」 と僕は答えた。 すると、その男は右の腰のあたりから何か取り出し、僕の右手をつかんだ。そして、「ガチャリ!!」
 なんと!それは、手錠だったんです。 
「なんだ! なんなんだよ! 
何で俺が手錠なんかかけられなきゃなんないんだよ!」  
「もう終わりだ! 俺の人生・・・」

と言うのは大げさですが、捕まっちゃったんですよ! 
警察に、しかもフランスの・・・
フランスに住んでいたときのことなんですけどね。
日本でも捕まった事なんかないのに、しかも手錠! しかも本物! しかも異国! もう 『びいーーーっくり』しましたよ、
『ぶったマゲたぁーーー!!』ってかんじ。
その時は、ホントに信じられない事が、今!まさに起きている!
ってかんじでしょうか。 容疑は偽札! といっても偽札作っていたわけじゃあなくて 使ってしまったんです。 
何処で偽札が僕の財布の中に紛れ込んだのか知りませんが、
わからなかったんです。偽物と本物の区別がつかなかった・・・  
フランスに住んで半年くらい経っての大きな落とし穴・・・
 
定期券を買おうと思ったら、「チョット待ってください」 って言われて、
待ってたら制服着た警官が来ちゃって駅員と話してる、
なんか知らないけど僕のこと指差して見てるんですよ。
「ナンダよあいつら!人のこと指差して!日本人が珍しいわけでも
ねーだろ!」 なんて思っていたら、警官がやってきて 「身分証明書見せろ!」 って言うんですよ。
運悪く、ちょうどその時は、持っていなかったんです、部屋に置いてきちゃって、 そしたら、「利き手はどっちだ」  になっちゃったんです。
 身体検査もされちゃって。  警官は、「手を壁につけろ!」 そして、「足を広げろ!」 といったんです。 よくテレビで外国の事件が報道されると、犯罪者が路上で身体検査受けてるシーンを見るじゃないですか、 まさにあれですよ、 あれ!
 「ナイフなんか持ってないだろうな」  とその警官、
「持ってるわけないだろ! あんたねー! よく考えりゃわかるだろ! 被害者じゃないか俺は! さっきから黙ってりゃー調子にのりやがって!  だいたいなー! 日本人はフランスでいっぱい金使ってんだ! フランス経済に大きく貢献してんだぞ! もっと丁重に扱え、丁重に!」 
とは言いませんでしたが・・・
そして、《ミッドナイト・エクスプレス》という映画を思い出した。 外国で、軽い犯罪を犯してしまった主人公が終身刑になっちゃう重い映画・・・・ 。
まさか・・・俺も終身刑!  でも犯罪者じゃない! 身分証明書もってなかっただけだ!  しかし・・・・・つづく・・・



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利き手はどっちだ!!2





 
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Gorilla file 14  


利き手はどっちだ!! 2


そして、僕はその後、なんと!パトカーに乗せられてしまった!
僕を乗せたパトカーは走り出した。途中から、パリの街をサイレンを鳴らしてものすごい勢いで飛ばしだした。 
まるで《リュックベッソン》の《タクシー》だ。
タクシー・・・ じゃあなく、 パトカーは、ある建物の中に入っていった。 

どうやら警察署のようだ。 
階段を上っていくと、白人の制服を着た警官とか、黒人の私服の刑事らしい人たちが、なにやら慌しくしていた。 
「おおーー!これぞ《フレンチコネクション》の世界!」 自分の今の状況もわきまえず、なんか興奮していた。誰かの怒鳴り声がしている。
きっと《ジーンハックマン》だ! と思った。
そして、僕はある部屋に案内された。

そこには、制服のデカイ婦人警官がいた。どうやら尋問らしい、その婦人警官、物凄い強い口調だ。 ド迫力!。 
《アニマル浜口》と並んで『気合だ-!!』とやらせたいと今思った。 僕は、すっかり萎縮してしまったが、頭に入っている、ありったけのフランス語を絞り出して答えた。
しかし・・凄い気合いの女だった。(この女は《シガニーウィ-バー》と共に、《エイリアン》を退治するのが一番似合っている) と思った。 
彼女の持っているボールペンが、「出て行け」 と言った。 

 次に待っていたのは、本当の身体検査だった。シャツもズボンも脱がされて、ポケットの縫い目まで調べている・・・(マッタク・・) 
 裸にされてしまった僕は、《ランボー》の《シルベスタ・スタローン》ように、放水機で、体を洗われてしまうのではないか、という恐怖が頭を過ぎった。
 次はいったいなんなんだよ!・・・・
「いい加減にしろよ! このヤロー!  日本人はなー、フランス経済のなー・・・・」 と今度こそ言ってやろうと思っていたら、
「じゃあここで待っててくれ」 とその警官は、言い残して僕をある部屋に入れた。

その部屋には、7~8人くらいの男たちがいた。
どう見ても、何かやらかしたような感じの男たち・・・
《レザボアドッグス》の《ホワイト》とか、《グリーンマイル》の《あの大男》みたいな奴がいるのだ。 
僕がその部屋に入ったとたんに、一斉にその男たちが僕を見た。  
その間、5秒くらい、 瞬間的に、(やばい!! まさか、《あしたのジョー》の《パラシュート部隊》とか《ネジリン棒》なんか喰わされないだろうか・・)

するとすぐに、さっき警官がやってきて、「もう、君はいい、帰っていいよ」
あまり怪しまれなかったのだろうか?  まあ、当然と言えば、当然だ。
 出口までその警官に連れて行かれて見送られた。 
『もうこんな所に二度と来るんじゃないぞ』 とは言ってなかったが・・・

警察署を出ると、あたりはもう真っ暗だった。 ホッとしたのか、急にドッと疲れが土石流のごとくおしよせてきた。 そして、ウナダレタ僕は一人で近くのカフェに入り、今日一日を思い返した。 しかし・・・
ナサケナイ 一日だった。 身分証明書さえ持っていれば・・・こんな事には・・・ならなかったのに・・・ 
自分自身の生活に“スキ”があるのだ・・・
実にナサケナイ・・・こんな時になっても、 映画やテレビのワンシーンと、ダブらせたりしている自分が・・・・ 
まさにナサケナイ・・・ しかも僕は最後に 「さようなら、ありがとう」 と言ってしまった。  何で俺がお礼なんか言わなきゃなんないんだ!   
まことにナサケイ・・・
そして、僕は、強く心に誓った。
自分をもっと高めるのだ!、
人として、 そして、人間としてのレベルを・・・。

そしてそのカフェで、心を改める機会にと、僕は、一杯のビールを注文した。
そのビールを、両手で挟んでジッと見る・・・。
そして、これまでの自分を振り切る様にイッキにそれを飲み干したのだった。 
しかし、その飲み方は、《幸せの黄色いハンカチ》の《高倉健》を意識していた。    



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