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2007年01月 アーカイブ

利き手はどっちだ!!2





 
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利き手はどっちだ!! 2


そして、僕はその後、なんと!パトカーに乗せられてしまった!
僕を乗せたパトカーは走り出した。途中から、パリの街をサイレンを鳴らしてものすごい勢いで飛ばしだした。 
まるで《リュックベッソン》の《タクシー》だ。
タクシー・・・ じゃあなく、 パトカーは、ある建物の中に入っていった。 

どうやら警察署のようだ。 
階段を上っていくと、白人の制服を着た警官とか、黒人の私服の刑事らしい人たちが、なにやら慌しくしていた。 
「おおーー!これぞ《フレンチコネクション》の世界!」 自分の今の状況もわきまえず、なんか興奮していた。誰かの怒鳴り声がしている。
きっと《ジーンハックマン》だ! と思った。
そして、僕はある部屋に案内された。

そこには、制服のデカイ婦人警官がいた。どうやら尋問らしい、その婦人警官、物凄い強い口調だ。 ド迫力!。 
《アニマル浜口》と並んで『気合だ-!!』とやらせたいと今思った。 僕は、すっかり萎縮してしまったが、頭に入っている、ありったけのフランス語を絞り出して答えた。
しかし・・凄い気合いの女だった。(この女は《シガニーウィ-バー》と共に、《エイリアン》を退治するのが一番似合っている) と思った。 
彼女の持っているボールペンが、「出て行け」 と言った。 

 次に待っていたのは、本当の身体検査だった。シャツもズボンも脱がされて、ポケットの縫い目まで調べている・・・(マッタク・・) 
 裸にされてしまった僕は、《ランボー》の《シルベスタ・スタローン》ように、放水機で、体を洗われてしまうのではないか、という恐怖が頭を過ぎった。
 次はいったいなんなんだよ!・・・・
「いい加減にしろよ! このヤロー!  日本人はなー、フランス経済のなー・・・・」 と今度こそ言ってやろうと思っていたら、
「じゃあここで待っててくれ」 とその警官は、言い残して僕をある部屋に入れた。

その部屋には、7~8人くらいの男たちがいた。
どう見ても、何かやらかしたような感じの男たち・・・
《レザボアドッグス》の《ホワイト》とか、《グリーンマイル》の《あの大男》みたいな奴がいるのだ。 
僕がその部屋に入ったとたんに、一斉にその男たちが僕を見た。  
その間、5秒くらい、 瞬間的に、(やばい!! まさか、《あしたのジョー》の《パラシュート部隊》とか《ネジリン棒》なんか喰わされないだろうか・・)

するとすぐに、さっき警官がやってきて、「もう、君はいい、帰っていいよ」
あまり怪しまれなかったのだろうか?  まあ、当然と言えば、当然だ。
 出口までその警官に連れて行かれて見送られた。 
『もうこんな所に二度と来るんじゃないぞ』 とは言ってなかったが・・・

警察署を出ると、あたりはもう真っ暗だった。 ホッとしたのか、急にドッと疲れが土石流のごとくおしよせてきた。 そして、ウナダレタ僕は一人で近くのカフェに入り、今日一日を思い返した。 しかし・・・
ナサケナイ 一日だった。 身分証明書さえ持っていれば・・・こんな事には・・・ならなかったのに・・・ 
自分自身の生活に“スキ”があるのだ・・・
実にナサケナイ・・・こんな時になっても、 映画やテレビのワンシーンと、ダブらせたりしている自分が・・・・ 
まさにナサケナイ・・・ しかも僕は最後に 「さようなら、ありがとう」 と言ってしまった。  何で俺がお礼なんか言わなきゃなんないんだ!   
まことにナサケイ・・・
そして、僕は、強く心に誓った。
自分をもっと高めるのだ!、
人として、 そして、人間としてのレベルを・・・。

そしてそのカフェで、心を改める機会にと、僕は、一杯のビールを注文した。
そのビールを、両手で挟んでジッと見る・・・。
そして、これまでの自分を振り切る様にイッキにそれを飲み干したのだった。 
しかし、その飲み方は、《幸せの黄色いハンカチ》の《高倉健》を意識していた。    



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駱駝の時代





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駱駝の時代



僕は毎朝6時45分に起きる。僕の自宅マンションの目の前には運河があります。
東京湾へは歩いて5分。 その運河の両脇には遊歩道があり、
毎朝、その遊歩道で朝のウォーミングアップをするのが日課なんです。しかし、雨の日はやらない、と言うか、したくてもできない。 晴れた日に、日の光をいっぱいに浴びて、柔軟体操をしながら、体の細胞のひとつひとつを、40分~1時間位かけて丁寧に刺激していくと、今更ながら、全ての細胞は脳につながっていることに気付くんです。 
細胞を刺激する事で、脳が刺激されてバッチリと目が覚めるんですよ。

そして、 そのあとゆっくりとシャワーを浴び、心と体をしっかりと整えて一日の始まりとすると、比較的、良い一日となりやすいようです。  
そしてそれは、約1時間後に始まるであろう、あるバトルの為でもあるわけで・・・


そして出勤、となるんですが、この日は築地で魚を仕入れるので、うちの老兵の出番だ。老兵とは、僕の 《ジオ》 と言う50ccのスクーターで、老兵と言うか、人間じゃあないので老兵器でしょうか。
この4年間、1年の半分以上は築地に通っていて、築地に行く時だけの、言わば運搬車として活躍している。
50ccのスクーターにしては寿命がながく、人間に例えれば、推定95歳の老人。
 なんと、メーターが一回転してしまって、このまま行けば、あと数ヶ月で2回転してしまいそうなんですよ。
 
僕の仕事は、道具と言うものは、心から愛さなければならない、とウルサク言われてきた職業なんです。 だから、我々の為に、ここまで走ってくれて、よく働いてくれたのだから、最後まで大切に付き合ってやろうと僕は決めた。
数ヶ月前、この老兵を盗もうとした、心無い人にやられたのか、フロントの部分を壊されてしまったんです。 幸い、盗まれはしなかった。そして、ガムテープで応急処置をした傷が痛々しいこの老兵にまたがって、この日も出発だ。

当然、、セルモーターはだいぶ前に回らなくなっている。キックでエンジンをかけなければならないわけです。 機嫌のいい時は一発でかかるんですけど、機嫌の悪い時、特に寒い日などは、10回以上キックしなければならないんですよ。 顔を真っ赤にして、やっとかかったエンジンも、アクセルを少し吹かすと止まっっちゃったりして。
「このヤロー! ちょーしに乗りやがって!」  などと言って、シートを引っ叩いたりして、 まあ、 動いてないから調子にも乗ってはいないと思うんですけどね・・・。
やっと走り出しても、マフラーのどこかにガタがきているのか、音がやたらとでかい。
高校生がわざとイタズラして、うるさい音を立てているような音がするので恥ずかしくって。  近くを歩いている人には、「スイマセン このバカがうるさくって」 という心境でして・・・。

そして、マンションの駐車場から方向指示をだして 《海岸道り》 へ出る。
ウィンカーもかろうじてウィンクしているが、それは老人のまばたきのように、ゆっくりと点滅している。海岸道りを浜松町を左に見て汐留方面に向かい、最近は、あまり活気のない築地市場へ入る。

新鮮な魚を物色して、大体10キロ以上をうちの老兵に乗せてお店まで向かうわけです。築地市場を出て、汐留の日テレの前を通過して、新橋の大きな交差点で信号待ちしている。  
すると、バックミラーに黄色と黒の動くものが見えた。 
「来やがったな!」  と思った。
メッセンジャーだ。 自転車便ですよ。 うちの老兵の天敵だ。 メッセンジャーは僕の左脇を通過して、同じように信号を待っている。  黄色と黒のウェットスーツのようなユニフォームが “メッセンジャー焼け“ した浅黒い肌にやけに似合っている。
いつものように、肩にはトランシーバーらしきものから、雑音が聞えていて、背中には黄色と黒のバッグ、赤で会社の名前。
そしてあの、ラグビーボールを半分に割って切れ目を入れたようなヘルメットは必要なのか? といつも思う。

 とにかくメッセンジャーは速い。 速くなるためにメッセンジャーをやっているのか、 メッセンジャーだから速いのかはわかりませんが。 スクーターに乗っている友達によると、信号無視をバンバンやるから、という説もあるが、とにかく、彼らには何度も屈辱を味わわされてきた。
 うちの老兵、こう見えても2・3年前はバイク便と競っていたんです。
スピード違反で捕まったことも、今となっては誇らしい。
しかし、最近は、コンビニの袋をさげたおばちゃんスクーターにもうっちゃられている。
もうじき、ママチャリにパッシングされるかも知れない。
勝負?!  いや、別に勝負ではないんですけどね、これから走ろうとしている時に、誰かが隣に来れば、 「俺はねー、マケナイんだよ、お前なんかニャー!」 っていう感じになるじゃあないですか、人間の本能ってやつですよ。
今日のメッセンジャーは何処まで行くのか? 別れる場所がゴール地点だ。
ポールポジションを獲ったアイルトン・セナが、宿敵、アラン・プロストを迎える心境と似ている。 と思った。
少し違うのは、相手のメッセンジャーは何も知らない・・・・。

予想として、ヤローは汐留の何らかのオフィスから、霞ヶ関の官庁、あるいは省庁、に届け物か、六本木ヒルズと言う可能性が高い。 ふと見ると、今日のヤローの太ももの筋肉はボブサップのように隆々としている。 今までのバトルから見るとこのタイプは坂道に強い、もし六本木ヒルズまでだとしたら “溜池~六本木間” の坂道は楽々登るに違いない、と思った。
僕は、一分の隙もないレース展開を、頭に叩き込んだ。 

信号が青になった。当然のことながらヤローは自転車のため加速はない。
新橋の駅のガードをくぐって内幸町の赤信号の交差点で止まった。
バックミラーを見る。 もうすでに、ヤローの存在はバックミラーの半分を制していた。
「はッ  速い!・・・・」 
人生のピンチに、いつも、つい、つぶやいてしまう口癖が出る。
「・・・フフッ・・・・  笑わせるゼ・・・・・」
やがて 溜池の交差点を左に曲がって六本木までのダラダラとした坂道だ。
この坂道が問題だ。 つい2・3日前、この坂道を上っていると、晴れているのに、バックミラーに霧が写っている。 何かと思いきや、なんと、うちの老兵が、松田優作のべスパのように煙を (モック モック) と吐き出していた。 
 普通に走っていても普通じゃないのに、10キロ以上の荷物を積んでいるのだから無理もないのだ。 気が付くと、近くを歩いていた年輩の女性が非難していた。
 坂道の途中の赤信号で止まった。 ヤローは僕の左脇を通過しようとした、そのとき ぼくのことをチラっと見た、あの目・・・、 そおー、 それは、バラエティー番組でデヴィ夫人が出川哲郎を見る、あの目だ!
そして、得意の信号無視! 
 『やーーりやがったな!』
僕の右のこめかみから音が聞こえた。  『ぶッッッちッ!!』
 そのとき、僕の守護霊は、アイルトン・セナに代わった。
 青信号と共に老兵は飛び出し、 《六本木通り》 をぶっ飛ばした。
そして、怒りのゴボウぬきだ。   (自転車一台) 
ヤローは、怒りに震えたぼくの両肩を見て怖気づいたのか左折していった。
しかし実際は、スピードの出しすぎで、ハンドルがぶるぶる震えていたのだが・・・

『フー・・・勝ったー・・・!』   お店に着いたぼくは、今日のバトルに満足していた。
こんなとき僕は、最近パッケージが変わったマイルドセブンに、昨夜、ローソンで買った105円のライターで火を付ける。そしてその後、ひと仕事を終えた男の爽快感と、勝利の優越感にひたりながら、魚を店の中に運ぶのだった。
この老兵との別れも、そう遠い事ではないと思っていた。








































 











 









 











 









 











 


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シェフプロフィール



19○5年8月 神奈川県川崎市に生まれる。
幼少の頃から両親の愛情に包まれヌクヌクと育つ。

  小学1年の時、お誕生日会開くためクラスの皆を招待!
  しかし、15・6人招待したのが一人しか来てもらえなかった・・
嫌われていたのかと思いきや、
原因は誕生日が夏休み中で、口だけで招待したのが夏休み前だった
  こともあり、 皆忘れてしまったのだった。
母は大量の料理を作ってしまい、その後5日位同じ料理が続いたという
エピソードを、今も心の傷として、たまにフト思い出し枕をぬらす。
 
その後、やはり小学生の時、夏のプールから帰ってきたとき、
異常な空腹感を覚えた、 しかしその時家には誰も居ず、
自分ではじめて料理らしきものを作る。
  それは、忘れもしない『チャルメラのソース焼きそば』だったのだ!
  料理の楽しさを覚えたのはこの時だったのだろうか? 
調子に乗って『チャルメラのやきそば』ばかり作り、
一生分の『チャルメラ』を食べてしまい、それ以来、『チャルメラ』は口にしていない。

高校を卒業するまでに作った料理は数種類だったが、
小学生の時『チャルメラ』を極めたように、1つ1つの料理を
極めていったのだった、このブログでも機会をみつけて
小学生・中学生の時に極めたものを紹介しよう。  

そして高校生の時、フランス料理の料理人になることを決意する。
専門学校をでて、19歳の時、料理人としてデビュー! 
しかし、デビューとは名ばかりで、掃除とまかない作りの毎日を送る。
現在はすっかり『奈良漬』のようになってしまった僕も、
この頃はまだウイウイしく、掃除とまかない作りでも、 喜んで取り組んでいたものだった。
その後、料理を通じて様々な経験をすることを、 この時の僕は知るよしもなかった・・。

その後は、毎日のまかない作りに頭を悩ませる日々が続いた。
不器用ながら<少しづつ出世していき26歳の時、
フランス修行のチャンスがやってきた。 
その時まだ26歳、まだまだ時間はある。
いろいろ経験するのも
いいのではないかと思い、少しの不安もあったけど 僕は旅立つことを決めた!出発の前夜、両親と出発前の乾杯をした時、 母は僕にこう言った。
   『アンタは昔から中途半端なんだから、どうせ、
1ヶ月後にはまたこうやってお酒でも飲んでんだよ。きっと。』
もう少し気の利いた言葉があってもいいじゃないか、と思いながら
調子に乗って飲みすぎ、翌日の成田空港に1時間遅刻!
危うく飛行機を乗り過ごしてしまいそうになった。

それからは、母の言葉を裏切り、3年間のフランス生活が続く事になる。 
フランスでは料理修行はさておき、さまざまな事件に巻き込まれることになる。
  偽札を掴まされ、偽札とは知らずにそれを使って留置されたり、
(詳細はこちら)  
そしてある日の事、こんなこともあった。

それは12月の26日、寒風吹きすさぶフランスの空のもと、
僕は一人さみしく、そして懐もさみしく、なけなしの日本円札の1万円を 握りしめ、フランスのとある銀行に両替しに行った。
当時の1万円はフランスフランで約500フラン、それがなんと!
5000フランに化けてしまったのだ!
日本では考えられない、銀行の大チョンボ!!
思わぬ展開にぼくはチョーうろたえた、銀行員を目の前に、
僕の右のほっぺがヒクヒク動き出した、ヤバイ!と思った僕は、
体内の全エネルギーを顔面に集中させて平静を装った。
銀行を出たぼくは一目散に自宅へ(・・・そして返した・・・と・・・思う・・・)

また、レストランのスタッフと皆でカヌーに出かけて、溺れそうになった事も・・。
などなど、料理修行以外の思い出がいっぱいできた。
そして、なんと言っても外国で暮らして、日本が好きになった、
日本人も大好きになった。 日本はいい国だ!

『帰国したら日本の勉強をいっぱいしよう!』 
『日本の歴史や文学を勉強しよう!』と強く思ったのもこの頃だ。
そして自分の中の引出しに一杯いろんな思い出と技術を詰め込んで帰国。
やろうと思っていた歴史や文学の勉強はなかなか進まない・・・
てゆーか・・・・・  やってない。
そして都内にちっちゃいフレンチレストランをオープンさせる。
現在、フランスで修行時代を共に闘った多くの戦友たちが
都内・全国各地でシェフとして活躍している。
このブログはチャルメラ時代から現在に至るまでの料理の中から
家庭でもできそうなものを紹介していこうと思っている。

皆さんの、「愛する方々を幸せな気分にさせてあげよう」とか
料理で、『人と人とのコミュニケーションを大切にしよう』 という気持ちに
『少しだけ』 お手伝いできれば幸いです。


*KWBフーズの業務が多忙の為、現在は食品業務に専念しています。



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